2024年4月のつぶやき

 ・3月31日にハイツ友の会解散を知る。いきなりのことだったのでショックを受けた。京都の若者2人が世間話の感じで毒を吐く漫才は面白かったし、2人がどうでもいいことを話しているラジオを聞くのも心地よかった。お笑いに対して熱意や過度の思い入れがなさそうな雰囲気だったけどいざ解散を知ると残念に思うものだね。

 ・誰かを応援することも加害のかたちのひとつになりうる。そのこと改めて考えていた。送り主から応援のつもりで向けられている熱量が受け手にとっては不愉快だという事象。

 

 

 ・目覚め方がきれいじゃなかったのか現実感がない朝があった。歩いてもただ視界が変わっていくだけで本当は前に進んでいない感じがした。離人感だった。この感覚はまだらボケとか認知症の人の世界認識と近いのかもしれない。

 

 ・試供品を貰った香水の、手に入れたてはスタイリッシュだと感じていた香りが、床屋の匂いに近いことに気付いた。おじさんのフレッシュさだ。資生堂ブラバスだ。買うのはやめにする。

 ・百貨店に入ったらある階の床が部分的に絨毯だった。それを見てすごく嬉しくなった、寝転がりたくなった。昔は京都の高島屋もそうだった。特別な場所って感じがした。

 

 ・知っているメーカーのバッグが在庫整理セールでびっくりするほど安くなっていた。値段買いしてしまう。

 

 ・このところよく使う路線の、車両の顔をよくよく見ていなかったとふと思う。ホームから出ていく電車を見送って確かめてみた。何の印象も残らないぼんやりした顔だった。これまでは鉄の箱とその中の椅子としてしか見てなかった。これからもそれでよさそうだ。

 

 ・数か月行かないうちにパン屋のおじいさんがボケていた。少しショック。おじいさんは茫然自失の言葉がぴったり合う様子でショーケースの中に立ち尽くしていた。こちらが話しかけても、ああ、とか、うう、とか唸っているだけだったが、小さいレジ袋を出す動作だけはしてくれた。おじいさんに唸り声で呼びかけられたおばあさんが奥から出てきて、お金を受け取ってくれてサンドイッチを渡してくれた。病院じゃない所でボケているお年寄りに会うのはしばらくぶりだった。

 

 ・1,2年ぐらい前に道でいきなりおじいさんに話しかけられたことがあった。部分的にボケてしまった人だった。彼は何らかの不安があって家から出て行ってしまったようだった。(原因は多分存在しないのだが)慌てているようだった。私は一緒に歩いていって家にあがった。とにかく安心させるのがいいだろうと明るい様子で話をした。掛け時計のネジを巻いてあげて、どうでもいい自分語りをして、全部がうまくいっているという雰囲気を身体から放出した。おじいさんがほっとした様子になったので、お邪魔しました~と家を出た。そんなことがあった。

 

 ・歩いていると、すみません、すみません、と声をかけられた。何の用だと振り向いたら小柄な高齢男性がいた。写真家の方ですかと訊かれた。そうですよと答えて2,3会話を進めた。自分の写真を撮って欲しいのだという。それでカメラを肩から掛けていた私に話しかけたのだ。合点がいった。彼は昔、写真を撮るのが好きだったらしい。しかし、自分が写った写真が全然ないことを気にしているらしかった。昔の写真しかないのです、とおじいさん。前にもカメラを持っていた人にお願いをしたことがあったが無視されてしまったそうな(そりゃそうだ。誰だって適当にあしらうだろう)。

 彼の様子はというと病名がつきそうな挙動では到底無いし無害そうだった。他に写真撮影を依頼する手段をただ単に知らないだけのようにも思えた。だから、まあ撮ってあげてもいいかなあ、ぐらいの気持ちだったのだが、若い頃は船乗りだったとちらっと話したのをきっかけに快諾することにした。ここのところ私は海づいているのだ。虚言だったとしてもそれはそれでネタになる。ここにこうして書くことも出来る。

 変な人に話し掛けられるのはよくあることだし、私は奇妙なイベントには元気さえあれば積極的に突入していくことにしているのだ。写真家に頼むからにはギャラを払ってもらわないといけないのですが、と問うと彼は言い淀んでいたが、お礼に一杯奢りますよと言ってくれた。それでいいことにした。私はお酒を飲まないが美味しいものを食べさせてくれたのならデータだけでなく紙に焼いて渡すこともやぶさかではない。電話番号と住所と名前をノートに書いて渡してくれた。涼しくなったころに電話をしますよと伝えるとおじいさんはホッとした様子になった。

 ・ツッコミは5W1Hを切り口とすると説明しやすい・習得しやすいのだなとひらめいた。
 いつ/どこで/だれが/なにを/なぜ/どうやって → 「いつやねん」「どこやねん」「だれ(が)やねん」「なにをやねん」「なんでやねん」「どうやってやねん(どうやんねん)」。

 

 ・かなり久しぶりに大根とカニカマのサラダを作った。

 

 ・この人のことをもっと知りたい、と思う人との出会いがあった。他人に興味がなさそうだという印象を私は持たれがちだがそうではない。深く知りたいと感じる人に出会うことが少ない、というのが正しい分析ではないだろうか。

 

 ・このシーズンはリップクリームの神様に嫌われている気がする。ポケットの中で知らぬ間に回っていて全出しになってしまっていることが本当に多い。キャップの方にくっついていたりして温厚な私でも怒りが一瞬で100まで達してしまった。そんなことばっかりだった。2本や3本の話ではない。

 ・「人生とは下りのエスカレーターに乗っているようなもの」だという。何もしないでいると下がっていってしまうから、ということらしい。だから頑張ろう!とは思えない喩えだな……

 

 ・ある一晩中、車で当てもなく走り回った。建造物も高速道路も夜景も全て自分のために用意されているような気さえした。建物は赤い朝日を反射して空気は水槽の中の水のようだった。

 ・深夜に海を見に行った。波を見ていた。私が観測していなくても波は発生しているのだろうなと思った。

 

 

 ・3月4月によく聴いていた音楽。

Closeness Ensemble of Kyoto『WaBaSaTa 2』

崎谷健次郎『MY GRAFFITI』

Liquid Stella『AUTHENTIC』

Sean Michael Giddings『Closing Scene』

Paradise League『Heart Stuff』『Let's go to funk city』

Gary Criss『Rio De Janeiro』

maigoishi『HOUSE PARKING』

LUCKY TAPES『Cigarette & Alcohol』

Escalators『Planet 'e'』

ナナヲアカリ『奇縁ロマンス』

KNEEBODY『By Fire』

Hiatus Kaiyote『Tawk Tomahawk』

showmore『overnight』

棕櫚『美味と喧騒』

NOEL POINTER『Phantazia』

Outside World『Outside World 3』

電球『人工島』