エロビデオの逆、「タナビデオ」

 

 ここでいうタナトスデストルドー、死への衝動のこと。それを当分の間は満たしてくれる、とまではいかなくても、一時的にアレ……(抑えつけてくれるような。京都弁で言うところの「虫やしない」)……してくれる映像を撮って、タナトスビデオ略して「タナビデオ」と名付けて世に出したい。テレビでは流せないからビデオにして流通させる。 *1

 例えば交通事故の瞬間や、戦争の衝撃的なシーン。もう少し身近なところではバンジージャンプの主観映像など。

 それを見て、人は死へ死へ向かう気持ちを和らげるわけ。破滅主義者たちにはつかの間の小康状態を与えるわけです。

*1:テレビで見られる「世界衝撃映像100選」みたいな番組は、ハラハラ要素がありつつも「人が死ななかった出来事」ばかりが集められている。映像が元々持っていた空気は演出によってかたちを作り変えられている。視聴者がソファに居ながらにしてインスタントに、全く安全に楽しめるコンテンツへと。車が跳ねたり爆発が起こったりしても「誰も死んでいない」ことがひとつのお約束みたいなものであり、だからこそ老若男女がほどほどにドキドキ出来る。