キヤノンの金帯単焦点

 

 一眼レフEOSとEFレンズは40年以上続いているキヤノンのカメラシステムだ。昔のカメラに最新のレンズ、逆のパターンでも普通に使える。今のデジイチに昔のレンズをつけてオールドライクな少しぼんわりした暖かい描写を感じたり、逆に現代のよく解像するレンズをフィルムで試したり、色々遊べて趣味的な楽しみがある。だがヴィジュアル的にしっくりくるのは、やはり時代の揃ったアウトフィットだろう。

 自分が一番好きなボディ、EOS 55に合うのは1990年代のレンズだ。この頃のEFレンズと言えば金色の細帯が印象的で、ULTRASONICのロゴと共に「超音波モーター(USM)を搭載してますよ!」とアピールする役割を(たぶん)果たしていた。この縄目模様のアクセントは、USMの搭載が当たり前になってゆくこともあってかやがて見られなくなる。カッコいいのかダサいのか華美なのか控え目なのか分からない帯に多少の野暮ったさと平成を感じる。

 

 

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EOS 55(1996年)

 

 金帯を巻いたレンズはなんとなく地味な割りに結構多くて30本(30種類)はある。だがそのうちのほとんどはズームレンズ(上のEOS55についているEF28-135mmもそうだ)で、単焦点レンズはマイノリティ。なんと6本しかない。今回はその「金帯単焦点」を広い方から列挙していこう。カッコ内は発売年。

 

 

EF20mm F2.8 USM(1992年)

 

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EF20mm F2.8 USM(1992年)

 

 

EF28mm F1.8 USM(1995年)

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EF28mm F1.8 USM(1995年)

 

 

EF50mm F1.4 USM(1993年)

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EF50mm F1.4 USM(1993年)

 

 

EF85mm F1.8 USM(1992年)

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EF85mm F1.8 USM(1992年)

 

 

EF100mm F2 USM(1991年)

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EF100mm F2 USM(1991年)

 

 

EF100mm F2.8 マクロ USM(2000年)

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EF100mm F2.8 マクロ USM(2000年)

 

 これだけ。のはず。上の写真でも伝わるかもしれないけど、外装の質感にはレンズによって違って、また生産時期によっても微妙なばらつきがある。後に発売されたレンズほどプラスチック感がなくなって多少の高級感が漂う訳だが。例えば20mmの初期ロットの筒はつるりとしている(使い込むとテカテカしてくる)が、のちの個体はしっとりしている。また、ある時期からAF/M表記がAF/MF表記に変更されていたりと、長く販売されるなかで細かいマイナーチェンジが起こっている。

 どれも20年以上前の製品だけどまだ現役。特に50mm、85mmは多くのユーザーに愛用されている。今からヨドバシに行っても堂々と新品で買えるのは50mm、85mm、100mmマクロあたりだろうか。あとのレンズは家電量販店じゃなくてカメラ屋だとまだ新品で手に入るかもしれない。

 が、キヤノンのシステムそのものがEFからRFへと移行する関係で現行品であっても「在庫僅少」、そして「生産終了」に移っている。今まさに移っていっている。レンズラインナップから金帯単焦点が絶滅する日はそう遠くないのだ。買うなら今!!

 それにしても、20,28,50,85,100なんて数字の並びを見ているだけでワクワクしてくる。人によっては望遠側に足りないと感じるかもしれないけど、私なんかはこれだけあれば世界中の何でも撮れるような気がしてくる。カメラ好き写真好きが集まれば「この中から1/2/3本だけ選ぶならどうする?」という話題だけで5時間ぐらい話し合えることは間違いない。私の優先順位は28mm→85mm→20mm→100mmマクロ→100mm→50mmだ。まあどう考えたって6本も要らないけどね。

 キヤノンの金帯単焦点は目立たないけど、どれもしみじみ良いレンズです。ぱっとしないけど気付いたら長年一緒にいるようなレンズです。新品で買えるうちに買っておこう!!!と声を大にして伝えたい。

 (画像と発売年は https://global.canon/ja/c-museum/index.html から引用しました)