業務終了

 

 先日カメラ屋でフィルムが売られているのを見た。ISO100の24枚撮り。プライスカード横のPOPには「渋谷で一番安い!」。値段は498円(税込547円)。この半額で手に入った頃を知ってい(て、家にストックがあ)るから買う気はおきなかった。その値上がり率は体感値タバコ以上のものだ。

 富士フイルムのISO100業務用フィルムが生産終了するという噂を目にしてから、どうも落ち着かない日々を過ごしている。私にとっては新型ウイルス大流行とかマスクが品薄状態とかそういうトピックよりよっぽど重大な時事問題だ。これからどうやって生きていくかについて、ああでもないこうでもないと思案している。

 日付が入るカメラにつめて1日1枚は撮って暮らしている。その営みのテンポが自分にとって心地いい。24枚撮り切って初めて撮影したものが見られるという点。現像と同時にプリントできる点(プリントする写真としない写真を選別するプロセスがさしはさまらないということ。それが良いのだ)。やはり写真は焼いてこそ。手で触れるし、かさばって、たまると重たい。仮にデジタルカメラで撮った写真を一々L判に焼いてたら、3か月ほどでオリンピックサイズのプールが満杯になってしまうだろう。だからフィルムカメラでぽつぽつ撮るぐらいがペースとして丁度良い。

 元々コンシューマー向けではなかった製品だ。アクロスと違って再販されることはないだろう。段ボール箱買いした100本入りも残すところ20本程度。業務用ISO100以外の銘柄も種々合計30本あるかないかというストック。フィルムカメラ本体も手放すことも考えている。その検討の中で、原油が枯渇した後にガソリン車を売るに近いのでは、と感じた。

 もっともっと買えば良かったんだろうな。作れば作るほど売れて、儲けが出て仕方なくて笑いが止まらないってぐらい買ってやればよかった…………

 

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