良い写真とは

 

 良い写真とは?これは語りつくされて手垢まみれになっている疑問だけど、結局のところ撮ってる人が気持ちいいか(気持ちよかったか)どうかじゃないかと最近思う。被写体が人間ならその人も喜ばせないとダメかもって思うけど人物写真のことは置いといて。

 僕が思う良い写真は大勢の人が思うそれと大きく乖離していることにも薄々(薄々?)気付いている。世に溢れている写真のほとんどは、はっきり言って僕にとってはどうしようもなくつまらない。何万回とシェアされた絶景をおさめた、いかにも感動させるような写真が時々タイムラインに流れてくるけど、それはその人がすごいんじゃなくてその場所が良いんだしなあと思う。よう分からんポエムを添えた投稿もまた流れてくるけど見てて恥ずかしくなってしまう。自分の内面とか精神世界を表現するなら写真より絵の方が何倍も適切なのにね。絵を描く代わりに、写真をパソコンで現実離れした色味に加工することに絵心を使うのはひどく滑稽。そうやって出来たデータは写真ではなくて画像だと捉えている。そんな画像、ゴミデータが大量にインターネットへ毎日毎日毎日流し込まれていて、世の中は本当に狂っている。

 紅葉を見に行ったんだけど、まあ普通に紅葉だった。ちょっと早かったけど赤いのもあって、まあ紅葉だった。無難にパシパシ撮った。帰る途中死にかけの蛾が飛べずによたよた歩いていた。これには高揚してシャッターを切りまくった。こっちの方が僕にはよいなと感じて、そのことが再び、僕と大多数の人間の間にある感性の乖離を思い出させた。

 

 この日みたいに何かを撮るためにどこかへ出かけることがあまりないので普段と違う感じで撮ったもの。インスタグラマティックというか、大勢の人がまあいいんでないのと思いそうな雰囲気。指摘し出したらキリないから言わないけど全然よくないね。でも例えば何かのポスターに使っても顔をしかめる人は少なかろう。

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 こっちは僕が気持ちいい方。同じもみじでもこういうスサんだやつの方が好き。これは僕が思う良い写真に近い。(直接関係ないけどこの木は見てて、もみじ麩が入ったお吸い物のみたくなった)

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 虫注意です。良いねえ!そうですよそうなんですよ!という感じで追いかけた蛾。虫きらいなんだけどこれは良い写真だねえ。

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 虫で終わるのもなんですので最後にもう一枚。これは別の日、別の場所。世間様に対する媚びが見え隠れする一枚。

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