2023年3月のつぶやき

 

 ・AIの進歩と、我々庶民の生活へ接近してくる速度が目覚ましい。遅刻する際上司へ送る文章をAIに考えてもらった、というような投稿を見て星新一の「肩の上の秘書」というショートショートを思い出した。持ち主の発した言葉を丁寧なものへと翻訳して発話してくれるインコ(型のロボットなのだろう)を、皆が肩に乗せている。そんな世界が描かれている。

 

 ・2月末から3月にかけての時期にしては強めの、季節を先取りした陽気に覆われた。「大学にお酒を飲んで行ったらやけに楽しく明るくなって、全然知らんギャルとかにも挨拶してまうよな」というような話を、何年も前にした。なぜ大学にお酒を飲んで行くかというと、人生が、人生そのものが楽しくなかったからである。今季の思わぬ陽気は、そのときの妙な高揚感だったり不健全な元気さを思い出させた。

 

 ・3月が進むにつれ空気の温度が高くなっている。とくに今年の私はその変化に敏感な気がする。1日ごとに温度が微妙に違うのがはっきりと分かる。どう過ごそうと季節は容赦なく巡り、私を翻弄する。無言の圧。電車や駅で後ろからゆっくりと押されているような気持ち。

 

 ・私は私の大切な人たちに何不自由なく暮らして欲しい。温かくあらゆる何物からも守られた安全な寝床にいてほしい。眠る前は口許に微笑みがあってほしい。もうやっぱり結局のところ私が望み願うことはそれしかない。「幸福な王子」というお話みたいに、自分の存在を少しずつ削っていき、それで大切な人たちが満たされていくことが出来たらどれほどよいことだろうか。もしかしたら私は何かに殉じたいのかもしれない。

 

 ・「シカゴピザ」事業停止のニュース。本社が茨木市にあったことを知る。

 

 ・帯状疱疹にかかった。皮膚科の医師は男性で、テンポよく話した。会うなり「帯状疱疹ですね」と言葉に無駄がなかった。医師は何かのメモが書かれた紙片を2つに折ってから破り、何も書かれていない半分に「左V1 帯状疱疹」と書きつけて、渡してくれた。「最悪失明することもあります。できればすぐに眼科に行ってください。ここには眼を検査する設備がないので診ることが出来ないのです」というようなことを言われた。眼の中を検査する機械がないから眼の中を診ることが出来ないという説明は100人中100人が納得する説明だと思った。

 薬を貰ってから、近くの悪くなさそうな眼科に電話して直近の時間で予約をとりつけて、診察を受けた。視力を測られた。それから眼圧を測られた。目に空気がぷしゅと吹きつけられる。ぷしゅ、の前のぴーぴろりー、というようなわずかに抑揚のある音がやけに有機的で、まるで眼圧測定マシンに意思があるように思えていささか不気味だった。もし機械が反乱を起こしたらこの眼圧測定マシンは高出力レーザーか何かを照射して人間様の眼を焼くのだろう。そんな気がした。

 パーテーションで区切られた暗がりのなかで女性の医師は帯状疱疹の菌だかウイルスだかは眼球の中に侵入していないことを伝えた。鼻に出た帯状疱疹は目にも出やすいこと、最悪失明することもあると教えてくれた。もしひどく充血するようなことがあったらいつでも来てください、というようなことを言ってくれた。こちらの先生も事務的な対応だったが、そこにかえってプロフェッショナルな意識を感じて嬉しくなった。

 ・「片目失明 障害者認定」から始まった数分の検索ツアーから私は、片目失明では障害者認定は下りない、障害年金はもらえない、障害手当金という一時金はもらえる、という知見を得た。片目失明で年間100万円ぐらい貰い、そのお金でレンズを買えばレンズを引き換えレンズに得たことになっておもしろいのになあと空想していたのだが、それは甘い考えだった。

 もし片目失明すると、深視力を失うことになり、それはすなわち大型自動車免許なんかを取得できなくなることを意味する。それはググるまでもなく知っていることで、私にとっては結構心を痛める事実だった。両目が見えるうちに大型免許を、借金してでも取らなければと気持ちが焦った。

 左目が見えなくなったら利き目を変えることになり、撮る写真は変わってくるのだろうか、と私の、尽きることのない興味の触手が伸びていった。

 

 ・今年の桜は例年より早く咲いたらしい。近所にちょっとした並木があって、その散り様が、弾幕ゲームのようだった。ぶおうわーー!!って感じで、災害級の猛吹雪みたいだった。

 

 ・中華鍋を導入しよう!とかなり前向きになり、色々と調べていた。しかし中華鍋をフル活用するには家のコンロでは火力が足りない。なので業務用のコンロを導入しようと思ったが、安全装置がついていない故に家庭で使うのは良くないらしい。この話、見送り!