今はネットがあるから……

 

 ある分野について通じている人はしばしば初学者、素人、それから若者に向けて言う。「今はネットとかあるから……」「調べたら出てくるでしょ」と。そこには非インターネットネイティヴ世代かつその道の玄人特有の錯誤がある。ググる能力だけが高い初学者がインターネットで解決しにくい難しさにぶつかることがあるのだ。

 情報が見つからない、ではなく、得られた情報が有用かどうかを見分ける難しさが生じている。玉石混合の玉と石を見分けることが初学者には難しい。子供の頃にはネットが無かった時代の人はインターネットはなんでもかんでも書いてある便利世界だと思いがちだが、実際はゴミの山でレアメタル拾いみたいな惨状である。やはり人に直接学ぶ方がいいなあと、このところずっと感じ入っている。知識がその人の中でしっかり系統だっている、まとまっている、その系統ごと学べるというのはかなり大きなことだ。インターネットでは点点で得られる(初学者にはどう結べばいいか、そもそも結びつくのかも分からない)情報が、線で繋がった網で得られるのだ。