はじめてのミニマル写真(思想編)

 

 「ミニマル写真」「ミニマルフォトグラフィー」みたいなワードで検索してこのブログを見てくれる人がいるみたい。「ミニマル写真」でググるとこのサービス残響とかいうページが上の方に出てきてびっくりする。

 関連する検索キーワードには「 撮り方」なんてワードもある。でも詳しく説明しているサイトもなかった。だから自分が説明しようかなっていう気になった。今日はここにミニマル写真の撮り方(というより「ある写真をミニマルにさせる方法」と言う方が厳密)を書き記しておこうと思う。知られているジャンルでは決してないから、撮る(ないし見る)にあたって一応簡単な指標があってもいいでしょ。

 長くなっちゃったから記事を記事を2つに分けた。前半であるこの記事では少し抽象的なことを、後半ではもう少し具体的に撮影に即したことを書いている。

 

 さて、僕の取り決めを書いていこう。ミニマル写真私論、写真のミニマリズム私論だ。ふだん僕が僕に対して言っていること。これらは誰に課せられたものでもないし、法律でもない。だから、それぞれ‟意図を持って行う”のであれば厳守する必要は一切無い(巷には撮影者が「なぜそうしたか」を説明できない写真――つまり意図や思想が無い写真――があまりにも多いので敢えてこう書く)。

 

 僕の取り決め(ミニマル写真の定義。ないし、その写真がミニマルだと言える条件)は今のところ3つ。「線が少ないこと」「オブジェクトが少ないこと」「情報が少ないこと」。それぞれが完全に分離しているわけではない。し、撮影するうえで全てを満たすべきだとは思わない。写真によっては1つの取り決めに従っていても別の取り決めに反していることだってある。むしろ、多くはそうである気もする。順番に見ていこう。文字だけだと伝わりにくいので写真も交えることにする。全てに共通しているのは「少ないこと」。

 

・線が少ないこと

 これは分かりやすいね。僧侶とホスト、どちらが髪――つまり頭の線――が多いでしょうか。いうまでもなく前者でしょ。“その写真を紙に描いたときに描きやすいかそうでないか”という指標でも判断できる。イラストで説明しやすいかしにくいか。簡単に絵に出来る方が、絵を描いたとき時間がかからない方がミニマルと言える。

 

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線が多い

 

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線が少ない

 

 

 ・オブジェクト(物体)が少ないこと

 写真に見つけられるものが少ないこと。画面にあるものの名前を一つ一つあげたとき、その数が少ないこと。つまり可算の要素(意味)が少ないということ。何をカウントするかは各人の自由。種類を数えるのか個数を数えるのか。またどうやって数えるか、も撮影者に委ねられている。例えば新聞があります。これを一部と見るか、十何ページと数えるか、何万文字と捉えるか。どうやって数えるかによって数量は違ってくる。僕は2個とか3個がしっくりくる。それぐらいだと必然性がある。10個だと明らかに多くて(必然性を感じないものが入ってくる)、それほどのモノを入れながらもミニマルであることを感じさせる写真を撮る人がいれば、かなりの手練れであると言えるのではないでしょうか(構図が上手いってことだね)。

 

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モノが多い

 

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モノが少ない

 

 

・情報が少ないこと

 写真から読み取ったり感じ取れるものが少ないこと。色数や柄、文字や記号など。つまり不可算の意味(意味)が少ないということ。別の方向から説明します。JPEG形式画像の大きさ――ファイルサイズ――はその(画面の)情報量に比例する。ちょっと違うけど無地のシャツより柄のシャツの方が重たいイメージです。つまりデジタルで、JPEG形式で写真を残すとき画面の情報が少ないミニマルな写真というのはファイルサイズが小さいデータになるということとほとんど同義なのだ。もちろん同じカメラで同じ設定であることが前提だよ、言わなくても分かるだろうけど一応。

 

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情報が多い(ファイルサイズ:大)

 

 

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情報が少ない(ファイルサイズ:小)

 

 以上筆者なりの定義づけでした。ここまでの説明で何かが掴めたのなら、もうカメラ掴んで外に出る方がいい。もうすこし詳しく(細かく具体的に)言ってくれんと分からんわ!って人は後半も読むとよい。もうすこし具体的な話をするから。メソッド(こだわり)について説明していくよ。