消えゆく写真フィルムのこととか

 

 なんか写真のことばっかり書いてるね。別に写真ブログにするつもりじゃなかったんだけど。

 富士フイルムのNATURA1600とX-TRA400が販売終了するって時に文章を書き始めたんだけど、どうもまとまらなくて。そうこうしているうちにACROSまで販売終了だと知った。びっくり。

 なんでもそうだけど、終了がアナウンスされると飛びつく人種がいるでしょう、ああいうのはどうしようもない人間だね。「懐かしいなあ」とか「昔はよく(使った/行った/食べた)けどなあ」などと、彼らはどことなく恩着せがましく近づいていくけど、自分たちがそれらを殺したという自覚は一切持っていない。……そんなことはどうでもいいんだ、まあ、そういうわけで、だから僕は自分を少し嫌いになりながら、それぞれを少しだけ買い溜めた。

 一番よく使う銘柄は富士フイルムの業務用のやつ。だから、あんまり他のフィルムに思い入れがなくて。だから文章もどうもまとまらなかったんだろうな。特にNATURA1600なんて3回も使ってない。サブカルクソ男女が使うものだという偏見を持っていたからね。パンケーキとか猫とか空なんかを撮るにはいいんだろうけど……。X-TRA400は時々使ってた。でも400も業務用の方をよく使ってる。ACROSも嗜む程度だったね。

 業務用フィルムはまず「業務用」という響きがいいんだよ。写真行為は一度、業務的に撮る段階に行かないと我々は高次の写真界に転生出来ないと思う。ルーティンで撮ること。なんでもないように、どうでもいいように撮ること。1枚1枚の意味が消えるまでひたすらシャッターをパシパシ連打。その気を支えてくれるのが業務用フィルム。今はデジタルで撮り放題なのでカメラ自体が業務用って感じ。一生モノのデジカメは多分存在しないだろうし、「趣味の道具」がまとうべき質感を備えたデジカメなんて圧倒的少数だものね。それこそ富士フイルムと、それからライカぐらいじゃないですかね。

 富士フイルムが作ってるデジカメには「フィルムシミュレーション」機能があって、フィルムの色味色調を再現してくれる。それを使って撮られた写真を見たけど(特に紙に焼いたものは)小さいころから親しんだ雰囲気があって、ものすごくしっくりきた。欲しいなー。ううん、欲しがるだけじゃダメ!買わなきゃ!皆も買って!次は会社が消えるんだよ。

 

 なんでもない風景。ほんとうになんでもない。

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