「中央フリーウェイ」の名テイク

 確か去年の今ごろだったと思う、毎日見てた動画。


ハイファイセット 中央フリーウェイ HiFi Set - Chuo Freeway

 ハイ・ファイ・セット「中央フリーウェイ」の、まさにこのテイク。原曲は70年代らしさがあって泥臭いというか……シティポップと言えどまだまだ垢ぬけてないサウンドなんだけど。

 このテイクはアレンジメントと打ち込みがはちゃめちゃに高いレベルで組み合わさっていて聴くたびにうっとりする。涙と涎が出てくる。いつの映像なのか分かんないけど(フジテレビの「ミュージックフェア」だというコメントがあった)、シンセの音色を聴く限りもう90年代に入って・は・いるぐらいの時代だと思う。洗練されてる。

 少なくともドラムとベースは打ち込みなんだよね。たぶん要所要所のティンパニも。だからドラムだけ、スネアだけ、バスドラムだけを聞くと一昔前のカラオケレベル。なんだけどオケ全体の完成度が死ぬほど高く、そしてそこにハイ・ファイ・セットのリッチな声が乗って、今聴いても全く安っぽく感じない、むしろ高級感があって重厚なサウンドとして聴こえてくる。

 なんといっても弦と管の動き、混ざり合いが極上のレベル。ストリングスは音色は生っぽいけど、挙動とか打ち込みだと言われても納得する部分も大いにある。逆にホーンは打ち込みっぽいけど挙動は人間が吹いてると言われて納得する部分が数か所ある。もしかしたらコンビネーションなのかもしれないけど、そんなめんどくさいことするかしら。これらは固まって鳴ってるばっかりじゃなくて。要所要所で個々の楽器が効果的に使われてて、例えばメロディに絡むオブリガートはホルンだけ、最後はバイオリンだけ残ってたり。そういう細部に神が宿ってる。

 間奏に挟まるシンセソロも好き。短いながらもテクニカルで印象に残る。夜空に浮かぶ星々を思わせる、きらめいた細かい動きが優雅なストリングスと好対照。次のサビまでに聴き手のテンションを更に高める役割をしっかりと果たしている。人間が弾いてたとしてもシンセが、その時代の音。良くも悪くも懐かしい音色。